看護師 求人と接する行動
納得の得られない処分は士気を削ぎ、医療の質を落とします。
山梨医大での問題提起一九九九年、当時私が勤めていた山梨医科大学病院で問題を提起しました。
医師がやりたいからやる医療、というのが横行していました。
大学とはいえ許されることではない。
あるトラブルをきっかけに学長に意見書を提出し、改めるよう求めたのです。
かなり具体的な例を挙げましたから、学長も「何とか変えよう、改革したい」とその気になってくれました。
そのとき提案したのは、まず医療倫理についてきちんと成文化すること。
それをもとに若い医師を教育すること。
国家試験を通り、晴れて医師になったときには、立派な会相場で、ピシッとした正装で一人一人に宣誓させたらどうか、といったことも提案しました。
儀式というものは、医師としての自覚と覚悟を持たせるのに有用です。
それから、病院の外部監査をしたほうがいい、とも言いました。
しかし、残念なことに、その後も一切変化はありませんでした。
しかし、このときに提案した、明文化された医療倫理が、虎の門病院で実現することになりました。
川4医師の行動規範と安全のかなめ私は、虎の門病院の泌尿器科部長として、診療の質を高く保ち、かつ円滑に進める責任を負っています。
泌尿器科だけで年間六五〇~七五〇件ある手術のうち、リスクの高い二〇〇件ないし二五〇件前後を自分で執刀するか、あるいは第一助手として手術を指導します。
〇四~〇五年度は、外科系医師の総代として病院の運営にかかわるとともに、二〇〇三年以後、安全管理、医療事故の調査に関わってきました。
医療を取りまく社会状況の変化を受けて、虎の門病院では実際にどのような取り組みをしているのか、紹介してみます。
まず、「医師のための入院診療基本指針」を作成しました。
医師の行動規範であり、正しい医療についての基本的な合意です。
何をもって正しい医療とするかについて、社会と病院の考え方に組齢がある。
それをできるだけ小さくするために、医師の行動規範を成文化したのです。
私が起草して、長い議論を経て〇三年七月に承認されました。
虎の門病院のホームページにも掲載してあり、社会からの批判を担保する、あるいは批判を仰げる形にしています。
基本的な考え方としては、説明責任の徹底、各医療従事者の自発性の尊重と責任の明確化、それと透明性を高めることです。
これについては、後で詳述します。
医療安全管理者という、病院の医療安全と事故に対応する専従の職員が置かれるようになりました。
いわば安全対策のかなめです。
虎の門病院では最も優秀な看護師長がこの職に就いています。
しかし、この医療安全管理者について言うと、現在多くの病院で看護師が就いていますが、現実にはなかなかうまくいっていないようです。
〇六年の六月に国家公務員共済組合連合会の病院で、医療安全管理者を対象に講習会が開かれました。
私も企画立案に加わりました。
三つのセッションでは私自身が講師をつとめました。
こちらが一方的に教える、情報を伝えるだけではなく、医療安全管理者の方々と、安川5全管理に何が必要なのか、管理者の役割と権限がどういうものかについて率直に意見を交換しました。
医療安全管理者たちは、かなり困っているようでした。
病院幹部がその重要性を理解していないため、医療安全管理者として思うように活動できない病院が少なくないのです。
病院長や副院長といった幹部には、医療安全について、世の中を支配するコンセプトが変わったことを、刷り込む必要がある、カルチャーショックを与えないといけないと痛感しました。
その後も、講習の参加者でメーリングリストを作り、安全業務について連絡を取り合っていますが、今後は医療安全対策についての共通認識を意識的に形成していくことが重要だと思っています。
インシデントとオカレンス報告制度「インシデント」とは、エラーがあっても、実際の被害につながらなかったケースのことをいいます。
虎の門病院では年間六〇〇〇件ほどありますが、医療安全推進委員会がその報告を受けて、医療事故の予防のための対策を立てます。
これはリスクマネジメントの有力な一手法で、当事者に報告はさせても、責任はいっさい問わない。
任意であり、基本的に無記名でもいいことになっています。
ただ何が原因でそうなったのかを分析させ、危険を未然に防ぐこと、安全を意識させるのが目的です。
「オカレンス報告」は事故の報告制度であり、リスクマネジメントの根幹をなします。
報告を受けたオカレンスを、調査委員会が調査します。
虎の門病院では、過失の有無にかかわらず、医療行為によって身体的な被害が生じたケースや、患者からクレームがあったものを二十四項目に定義していますが、そのどれかに当てはまるものは報告を義務づけています。
虎の門病院では、〇四年四月から〇五年三月までの間に、八五件のオカレンス報告がありました。
患者からのクレームを伴う二三件中、一二件については身体傷害が全くありませんでした。
透明性を高めるために、議論には第三者が参加しています。
虎の門病院では元裁判官が外部委員としてメンバーになっています。
専門領域の判断が必要なときには、外部の専門家の参加を求めることもあります。
重大なインシデントあるいはオカレンスについては、RCA(R。
根本原因分析という分析手法を用いて原因を分析します。
「出来事流れ図」というものを作り、事故の全経過を、主語と述語を明確にした文を並べて表現します。
ひとつひとつの文について、なぜそれが起きたのか、答えを出す。
その答えについてなぜ起きたか、という具合に、延々と「なぜ」と答えを繰り返していく。
そして、これ以上原因が遡れないというところを根本原因とします。
根本原因に基づいて、医療安全推進委員会が対策を立てる。
こうした努力を継続しています。
調査委員会は事故に至ったケースについて議論しますが、公表については基準を作っています。
調査委員会とは別に、公表について検討する委員会があって、そこで決定します。
個人が窓意的に公表したりしなかったりということをできるだけなくすようにしています。
これ以外にも、事故を防止するために、各種の具体的な安全対策を講じています。
投薬についてはコンピューターがかなり大きな役割を占めていますが、患者自身にも確認作業に加わってもらっています。
事故の多い中心静脈カテーテル挿入は免許制にしています。
人工呼吸器に関しては、ある事故をきっかけに安全マニュアルが作成されました。
人工呼吸器チームが、人工呼吸器を装着しているすべての患者を、毎日訪問しています。
これ以外にもうんざりするほど多数の安全対策が実施されています。
手術室では、看護師は看護師としての様々な規定があり、医師は手術に関しては各科ごとに、細かなやり方があります。
そうした中で、「手術室安全マニュアル」というも川βのを作成しました。
この「手術室安全マニュアル」は各職種間のインターフェースの部分を扱い、全体としては手術にかかわる全ての医療従事者のコミュニケーションの向上と、手術室の透明化を目的に作られています。
大項目としては、①一般的事項②環境③患者、入退室手続き、確認④移動、移送、体位、体温⑤薬剤⑥輸血⑦術野に直接触れる消耗品、医療器具⑧医療機器、を設定しています。
「シミュレーション・ラボ・センター」では、ロボットで診療技術を練習しています。
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